「んんっ……んぐっ、くぅぅっ」


 男の無骨な指が、淡い桃色に染まった私の乳首を磨り潰してくる。

 男がこよりをようように指を動かせば、乳房の頂から痛みと共に、それとは異なる鋭い衝撃が背中を駆け抜け、下腹部に響いてしまう。

 そのありえない感触に、私は驚愕していた。

 今のは紛れもなく、憎き白鬼丸に刻み付けられてしまった、性の衝動。


「くふっ、ん、くくぅっ……こん、なっ……ん、んぅっ」


浮浪者A
「どうしたんだい、お嬢ちゃん? 気持ち良いんなら、何も我慢することなんて、ないんだよ?」



「誰が、気持ち良く、などっ……おぞましい、だけでっ……は、早くその手を、放しな……さいっ」


浮浪者B
「はははは、まだそう言えるなんて、ホント感心するよ。けど、身体の方は正直みたいだぜ?」



「ひうっ……! うっ、ん、んく、くぅぅっ」


 私の脚を割り開かせている正面の男が、不意にその脚の付け根に指を伸ばしてきた。

 ソコのかなりきわどい縁をなぞった男の指が、今度は太ももの裏を掃くように撫でていく。


「くふっ、う、ひっ、あっ……ぃゃ……やめな、さいっ」


浮浪者B
「だから、身体はそうは言ってないって言ってるだろ? ホ〜ラ、俺が触るのに合わせて、姉ちゃんのマ○コがエッチな下着の下でヒクヒクしてるぞ?」



「そんな……して、ないっ……して、ませんっ」


 私は全身を強張らせながら、自分に言い聞かせるよう、必死に否定の言葉を搾り出した。


 けれども、男の指が太ももやお尻を軽く撫でる度に、私の身体は勝手にピクンッと跳ねてしまう。

 そうして、私の身体は内側からどんどんと熱くなっていってしまう。


「(嘘です……こんな、あっては、ならないのに……)」


 汗ばんだ肌を、夜風が撫でていく。

 その冷たさが、ここが屋外であることを、私に改めて教えてくれた。

 そうだ。こんなこと、あるはずがない。

 夜とは言え、誰が通るかもしれない公園で、見知らぬ男達にいいように弄られて、こんな……こんなっ。

浮浪者A
「えひひひ、お嬢ちゃん、乳首が硬くなってきたねぇ」


 乳首を弄んでいた男が、熱を帯び始めていたそれを、キュッと強く指に挟んできた。

 そのまま乳房ごと持ち上げるように引っ張られ。



「きゃふっ! ……んっ、くふ、く、ぅんんっ」


 とっさに歯を食い縛ったが、それでも悲鳴のすべてを防ぐことは出来なかった。

 それは喘ぎ声などでは決してなかったのに、その声を聞いた男達はいよいよ私を嘲笑ってくる。

浮浪者A
「ひ、ひひひ……やっぱり、乳首ちゃんが弱点なんだぁ。これ、感じるよね? お嬢ちゃん」



「ふぐっ、く、くふぅぅっ……うん、ん、ぁ、い、やっ……痛い、だけ、でっ……んんんっ」



 男はクイクイと乳首を引っ張っては、指の間で転がすようにして磨り潰してくる。

 その度に胸先から熱い刺激が流れ込み、下腹で痛みににも似た疼きが育っていってしまう。


 そんなつもりは毛ほどもないのに、腰が勝手に切なく捩れ、地面に触れた爪先が土を噛む。


「ん、く、ふ、はっ……ぁ、ぁぁ、ぃ、ゃぁ……っ」


浮浪者B
「へへへ、まだ強情張るか? なら、これでどうだっ」



「んくぅぅっ! んあ、あふっ、んっ、くふぅぅぅっ」


 男の指が、グイッと強く私の股間を押し揉んできた。

 熱い衝撃が背中を駆け上り、身体が大きく反り返る。

 ジュワッと、そこが熱く重くなっていくのが自分でも分かってしまった。

浮浪者B
「へっへへへ、どうだ姉ちゃん。濡れてきてるぞ?」



「くふぅっ、うん、んんっ……ち、がう……ぁ、ああっ、あんっ、ん、んんっ」


 下着の上から割れ目に浅く潜り込んだ男の太い親指が、ゆっくりと上下にソコをなぞってくる。

 さすがに音が立つようなことはなかったけれど、私のそこはいよいよ熱くなり、下着を重く湿らせてしまう。

 快感などあるはずがないのに、あってはならないのに、この身体の熱を、どうすることも出来ない。


「は、ぁぁ、ぅっ、くっ……お願い、もう、止めて……」


 それは、自分でも信じられないほど弱弱しい声だった。

 しかも、こともあろうに私は、男達に拒絶の言葉を叩き付けるのではなく、懇願してしまっていた。

 頼むから、許してくれと。

 そんな自分が情けなく、涙しそうになったところで、胸と股間を弄る男達の動きが止まったことに気付いた。

浮浪者B
「姉ちゃんは、自分がされるのは嫌なわけだな? それなら、だ」


浮浪者C
「こっちを、もっとキチンと相手してもらおうかの?」



「んぐぅっ!? ん、くはっ、ん、ぃやあっ」


浮浪者D
「ホ、ホラッ、こっちもちゃんと!」



「んああっ……ん、はっ、あ、ぁぁぁっ」


 私の左右に陣取った男達が、それぞれ股間のものを、より強く私に押し付けてくる。

 老いた男のはずなのに、そこだけは異様なまでに生気を漲らせている。

 それが、早く舐めろと言わんばかりに私の唇を擦ってくる。


「んっ、く、臭い……っ」


 何日も風呂に入っていないに違いない。

 直接に触れてきたそれは、私の頭の中を一気に汚臭で埋め尽くしてしまった。

 嘔吐感とクラクラするほどの眩暈におそわれて、私は少しでもそれから離れようと身を捩る。

 けれども男の枯れた手が私の頭を捉え、強引にそれと対面させる。

浮浪者C
「どうした? 自分がされるのは嫌なんじゃろ?」


浮浪者B
「それとも、やっぱりマ○コを掻き回して欲しいか?」



「んああっ……くふっ、ん、んんぅっ……!」


 男の指が、再び私の股間を穿ってくる。

 それが甘い衝撃であることを、私はもう、否定できなかった。

浮浪者B
「ソラ、どうする? やるかやられるか、俺達は優しいからな。好きな方を選ばせてやるぜ?」


 男が勝者の笑みで、私を見下ろしてくる。


 本当ならば、この不埒な輩を打ちのめしてでも、ここから逃げなくてはならないのに。

 私は、己の不甲斐なさを心の中で嘆きながら、そっと唇を開いていった。